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キッチンカー車検の完全マニュアル!費用相場から注意点まで

キッチンカーの車検_あいあんクック

この記事を書いている人

あいあんクック社長 竹内 晋

平成3年創業、キッチンカーのパイオニアあいあんクック(AIAN COOK)社長

創業以来これまで1000台超えるキッチンカーを手掛けてきた竹内。
キッチンカーの制作販売だけでなく自らのたこ焼きのキッチンカーで得た経営のノウハウを活かし、多くのキッチンカーオーナーの開業支援も行ってきました。
決して甘くないキッチンカーの独立開業に役立つ情報を、少し厳しい言葉もありつつ愛をもって、
これからキッチンカーでの開業を考えている方、既にキッチンカーを営業されている方のお役に立てる情報を発信していきます。

目次

移動販売で夢を叶えるキッチンカーオーナーの皆様へ。
一般的な乗用車とは異なる、キッチンカー特有の車検に不安を感じていませんか?この記事では、「キッチンカー車検」に特化し、費用相場から検査の流れ、必要書類、さらには構造変更に関する注意点まで、知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事を読めば、あなたのキッチンカーを安全に、そしてスムーズに車検に通し、安心して営業を続けるための完全な知識が手に入ります。無駄な費用や手戻りを防ぎ、適切な準備で車検をクリアしましょう。

1. キッチンカー車検とは 基本を理解しよう

キッチンカーを運営する上で避けて通れないのが「車検」です。
一般的な乗用車の車検とは異なる点が多く、キッチンカーならではの特性を理解しておくことが、スムーズな車検通過の鍵となります。
この章では、キッチンカーの車検の基本的な知識について解説します。

 

1.1 一般的な車検との違い

キッチンカーは、その用途から「特種用途自動車」に分類され、一般的に「8ナンバー」と呼ばれる車両区分に該当します。この点が、一般的な乗用車(3ナンバーや5ナンバー)の車検と大きく異なる点です。

特種用途自動車であるキッチンカーの車検では、通常の車両としての機能や安全性の確認に加え、食品を調理・販売するための設備が、定められた基準に適合しているかどうかも重要な検査項目となります。

具体的には、シンクの数や大きさ、給排水タンクの容量、換気設備の有無、火気使用設備の安全対策などが細かくチェックされます。これらの設備は、食品衛生法地方自治体の条例に基づく営業許可を得るためにも不可欠な要素であり、車検時にもその状態が厳しく検査されるのです。

以下に、一般的な乗用車とキッチンカーの車検における主な違いをまとめました。

項目一般的な乗用車(3・5ナンバー)キッチンカー(8ナンバー)
車両区分普通乗用自動車、小型乗用自動車など特種用途自動車
検査対象車両の機能、安全性、排ガス、灯火類など車両の機能、安全性に加え、調理・販売設備の適合性
主な確認事項走行性能、ブレーキ、ライト、タイヤ、排気ガスなど走行性能に加え、シンク、給排水タンク、換気設備、火気設備などの構造・設置基準
関連法規道路運送車両法など道路運送車両法に加え、食品衛生法、各自治体の条例など

1.2 キッチンカーの車検が必要な理由

キッチンカーの車検は、単なる義務以上の重要な意味を持っています。主な理由は以下の通りです。

  • 道路運送車両法に基づく義務
    すべての自動車は、道路運送車両法により、定期的な点検・整備と車検を受けることが義務付けられています。キッチンカーも例外ではなく、公道を走行するためには、この法律に従い車検に合格する必要があります。

  • 安全性確保
    キッチンカーは、調理設備やガスボンベ、水タンクなど、多くの積載物を搭載して移動します。これらの設備が適切に固定され、安全基準を満たしているかを確認することは、走行中の事故防止や、設備起因のトラブル(火災、水漏れなど)を防ぐ上で極めて重要です。車検は、車両と設備の安全性を総合的にチェックする機会となります。

  • 公衆衛生の保護
    食品を扱うキッチンカーにとって、衛生管理は最重要課題です。車検では、シンクの数や材質、給排水設備の機能、換気能力など、食品を安全に提供するための設備が適切に機能しているか、衛生基準を満たしているかが確認されます。これは、お客様に安全な食品を提供し、食中毒などのリスクを低減するために不可欠です。

  • 営業許可の維持
    多くの自治体では、キッチンカーの営業許可(食品営業自動車の営業許可など)の更新時に、有効な車検を受けていることが条件となる場合があります。車検切れの車両では、公道を走行できないだけでなく、営業活動自体が困難になる可能性が高いため、事業継続のためにも定期的な車検は必須です。

2. キッチンカー車検の費用相場と内訳

キッチンカーの車検費用は、一般的な乗用車と比較して異なる点があります。特に、車両が貨物車として扱われることや、特装部分の点検が必要になるため、その内訳を正確に理解しておくことが重要です。

車検費用は大きく分けて、国に支払う「法定費用」と、業者に依頼する場合に発生する「車検基本料(点検整備費用・代行手数料)」の二つに分類されます。ユーザー車検を選択するか、専門業者に依頼するかによって総額は大きく変動します。

2.1 検査費用

車検の検査費用とは、車検を受ける際に国や指定工場に支払う手数料のことです。これは一般的に「検査手数料」または「印紙代」と呼ばれます。

  • 指定工場(民間車検場)の場合: 印紙代として約1,800円~2,200円程度が必要です。
  • 運輸支局(ユーザー車検・持ち込み検査)の場合: 印紙代として約1,800円~2,200円程度が必要です。

この費用は、自動車の種類(小型自動車、普通自動車など)や、持ち込み検査か指定工場での検査かによって若干異なりますが、大きな差はありません。

また、業者に依頼する場合には、この検査手数料に加えて、点検整備費用や車検代行手数料が発生します。これらの費用は業者の料金体系や整備内容によって大きく異なり、一般的には数万円から10万円以上になることもあります。

 

2.2 自賠責保険料

自賠責保険は「自動車損害賠償責任保険」の略で、法律で加入が義務付けられている強制保険です。車検時には、次の車検期間をカバーする分の自賠責保険に加入している必要があります。

キッチンカーは一般的に「貨物車」として登録されるため、乗用車とは異なる保険料が適用されます。保険料は、車両の区分(軽貨物、小型貨物、普通貨物など)と保険期間によって決まります。通常は24ヶ月契約で加入します。

自賠責保険料の目安(24ヶ月契約)

車両区分保険料(目安)
軽貨物車約16,000円
小型貨物車(〜2トン)約17,000円
普通貨物車(2トン超)約20,000円~

※上記はあくまで目安であり、保険料は時期によって変動する可能性があります。

2.3 自動車重量税

自動車重量税は、自動車の重さ(車両総重量)に応じて課税される税金です。車検時に次の車検期間分を一括で納付します。キッチンカーは貨物車として扱われるため、車両総重量が課税基準となります。

エコカー減税の対象となる車両もありますが、キッチンカーの多くは特装車両であるため、適用外となるケースが多いです。新車登録から年数が経過すると、税額が高くなる場合があります。

自動車重量税の目安(2年自家用・貨物車)

車両総重量税額(目安)
軽自動車(貨物)6,600円
〜1トン8,200円
〜1.5トン12,300円
〜2トン16,400円
〜2.5トン20,500円
〜3トン24,600円

※上記は一般的な目安であり、車両の年式やエコカー減税の適用状況によって変動します。

2.4 その他の諸費用

上記の法定費用以外にも、車検にはさまざまな費用が発生する可能性があります。

  • 車検代行手数料: 専門業者に車検を依頼する場合に発生する手数料です。点検整備費用とは別に設定されていることもあります。相場は1万円〜3万円程度です。
  • 点検整備費用: 車検に合格するための点検や、必要に応じた部品交換・修理にかかる費用です。これは車両の状態や走行距離、業者の工賃によって大きく異なり、数万円から数十万円になることもあります。特にキッチンカーは特殊な設備が多いため、一般車両よりも高額になる傾向があります。
  • 部品代・工賃: 消耗品の交換(タイヤ、ブレーキパッド、バッテリーなど)や故障箇所の修理が必要な場合に発生します。
  • 消費税: 車検基本料や点検整備費用、部品代などには消費税が課税されます。法定費用(自賠責保険料、自動車重量税、検査手数料)には消費税はかかりません。
  • リサイクル料金: 新車購入時に支払うもので、車検時に別途請求されることは稀ですが、未払いの場合や所有者変更時に清算が必要になることがあります。

これらの費用は、車両の状態や依頼する業者によって大きく変動するため、事前に見積もりを取ることが非常に重要です。

2.5 構造変更時の追加費用

キッチンカーは、ベース車両を改造して製造されることがほとんどです。そのため、車両の寸法、重量、乗車定員、用途などが登録内容と異なる場合、「構造等変更検査(構造変更)」が必要となることがあります。

構造変更が必要な場合、通常の車検検査に加え、以下の費用や手間が発生します。

  • 構造変更検査手数料: 通常の検査手数料に加えて、追加で手数料が発生することがあります。これは検査の種類によって異なりますが、数千円程度が目安です。
  • 改造費用: 構造変更を伴う改造を行う場合、その改造にかかる部品代や工賃が別途必要になります。
  • 自動車重量税の再計算: 構造変更により車両総重量が増加した場合、自動車重量税が再計算され、差額を納める必要がある場合があります。
  • 設計・申請費用: 複雑な構造変更の場合、専門業者による設計や申請代行費用が発生することもあります。

構造変更は、車両の安全性や公道走行の合法性に関わる重要な手続きです。不明な点があれば、事前に陸運局や専門業者に相談し、必要な手続きと費用を確認するようにしましょう。

3. キッチンカー車検の流れと必要書類

キッチンカーの車検は、一般的な自家用車の車検と共通する部分も多いですが、その特殊な構造ゆえに注意すべき点も存在します。ここでは、車検準備から検査当日、そして必要となる書類まで、一連の流れを詳しく解説します。

3.1 車検準備から予約まで

キッチンカーの車検は、車検満了日の1ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。特にキッチン設備を積載しているため、通常の車検よりも入念な点検と準備が求められます。

3.1.1 車検を受ける場所の選択

車検を受ける場所は、主に以下の3つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

  • ディーラー(正規販売店):購入したメーカーの専門知識と技術力で、高品質な点検・整備が期待できます。費用は高めになる傾向があります。
  • 整備工場・車検専門店:ディーラーよりも費用を抑えつつ、専門的な点検・整備を受けられます。キッチンカーの架装に詳しい工場を選ぶと安心です。
  • ユーザー車検(自分で陸運局に持ち込む):費用を最も安く抑えられますが、車両の点検・整備、書類作成、検査ラインでの手続きを全て自分で行う必要があります。

キッチンカーの場合、架装部分の点検や構造変更の確認が必要となるため、専門知識を持つ整備工場や、ユーザー車検に慣れていない場合は代行業者への依頼も検討すると良いでしょう。

3.1.2 予約方法と準備

車検を受ける場所を決めたら、早めに予約を入れましょう。特にユーザー車検の場合は、運輸支局(陸運局)の検査ラインの予約が必須です。インターネットの「自動車検査インターネット予約システム」から予約できます。

予約と並行して、車両の事前点検と必要な書類の準備を進めます。特にヘッドライトの光軸調整やタイヤの溝、灯火類の点灯確認など、基本的な項目は事前にチェックしておくことで、検査当日の手間を省けます。

3.2 検査当日の流れ

車検当日は、予約した時間に遅れないように向かいましょう。ユーザー車検の場合、運輸支局での一般的な流れは以下の通りです。

  1. 書類の提出・受付:必要書類を窓口に提出し、検査手数料を支払います。
  2. 外観検査:車台番号、原動機型式、灯火類、タイヤ、窓ガラスなど、車両の外観や装備が保安基準に適合しているか確認されます。
  3. 検査ラインでの検査
    • サイドスリップ検査:タイヤの横滑り量を測定します。
    • ブレーキ検査:前輪、後輪、駐車ブレーキの制動力を測定します。
    • スピードメーター検査:実速度とメーター表示の誤差を確認します。
    • ヘッドライト検査:光量と光軸が保安基準に適合しているか測定します。
    • 排気ガス検査:排気ガス中の有害物質濃度を測定します。
    • 下回り検査:リフトアップして、オイル漏れ、ブーツの破れ、サスペンションの状態などを確認します。
  4. 合否判定:全ての検査が終了すると、検査官から結果が伝えられます。合格すれば、新しい車検証と検査標章(ステッカー)が発行されます。

もし不合格となった場合は、その場で不適合箇所を指摘されます。当日中に修理・調整して再検査を受けるか、後日改めて再検査を受けることになります。再検査は、初回検査から15日以内であれば、不適合箇所のみの検査で済みます。

3.3 ユーザー車検と業者依頼の違い

キッチンカーの車検を検討する際、ユーザー車検にするか、専門業者に依頼するかは大きな選択肢となります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況に最適な方法を選びましょう。

項目ユーザー車検業者依頼(整備工場・ディーラーなど)
費用最も安価(法定費用+検査手数料のみ)法定費用+検査手数料+点検整備費用+代行手数料
手間・時間書類作成、車両点検、検査ラインでの手続きなど全て自分で行うため、手間と時間がかかる車両を持ち込むだけで全て任せられるため、手間と時間がかからない
専門知識車両の構造や保安基準に関する一定の知識が必要専門家が点検・整備するため、知識は不要
安心感不適合箇所があった場合、自分で対応する必要があるプロの目による点検で、不具合を早期発見し、整備してもらえる
整備保証なし業者によっては整備保証が付く場合がある
キッチンカーの特殊性構造変更の確認や設備の状態チェックを自分で行う必要があるキッチンカーの架装に詳しい業者であれば、適切なアドバイスや整備が期待できる

キッチンカーは、その特殊な構造から、ユーザー車検のハードルがやや高いと感じる方もいるかもしれません。特に初めての車検や、車両の整備に自信がない場合は、専門業者への依頼を強くおすすめします。信頼できる業者を見つけることが、スムーズな車検への第一歩です。

3.4 必要な書類リスト

車検には、以下の書類が必須となります。不足しているものがないか、事前にしっかりと確認しておきましょう。

書類名概要と注意点
自動車検査証(車検証)車両の情報が記載された重要な書類です。車内に保管されていることがほとんどです。
自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)加入が義務付けられている保険の証明書です。有効期限が切れていないか確認しましょう。車検の期間をカバーしている必要があります。
自動車税納税証明書自動車税を納付したことを証明する書類です。電子化されている場合は提示不要な場合もありますが、念のため準備しておくと安心です。
点検整備記録簿法定点検や日常点検の記録を記載する書類です。ユーザー車検の場合は、自分で点検した内容を記載します。業者に依頼する場合は、業者が作成します。
印鑑(認印)車検手続きの際に必要となる場合があります。シャチハタは不可の場合が多いです。
継続検査申請書(OCRシート)陸運局の窓口で入手し、必要事項を記入します。
自動車検査票検査ラインでの結果を記録する用紙です。陸運局の窓口で入手します。

これらの書類は、全て有効期限内で、かつ記載内容に誤りがないことが重要です。特に自賠責保険証明書は、新しい車検期間をカバーする期間で加入し直す必要があるため、事前に準備しておきましょう。

車検を受ける場所は、主に以下の3つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

  • ディーラー(正規販売店):購入したメーカーの専門知識と技術力で、高品質な点検・整備が期待できます。費用は高めになる傾向があります。
  • 整備工場・車検専門店:ディーラーよりも費用を抑えつつ、専門的な点検・整備を受けられます。キッチンカーの架装に詳しい工場を選ぶと安心です。
  • ユーザー車検(自分で陸運局に持ち込む):費用を最も安く抑えられますが、車両の点検・整備、書類作成、検査ラインでの手続きを全て自分で行う必要があります。

キッチンカーの場合、架装部分の点検や構造変更の確認が必要となるため、専門知識を持つ整備工場や、ユーザー車検に慣れていない場合は代行業者への依頼も検討すると良いでしょう。

4. キッチンカー車検で特に注意すべき点

キッチンカーの車検は、一般的な乗用車の車検とは異なる、独自の注意点が存在します。
移動しながら調理を行うという特性上、車両本体の安全性はもちろんのこと、車内に設置された調理設備や給排水設備、電気・ガス設備などが日本の法規や安全基準に適合しているかが厳しくチェックされます。
これらの特有のポイントを見落とすと、車検に不合格となるだけでなく、営業停止命令や重大な事故につながる可能性もあります。ここでは、キッチンカーの車検において特に注意すべき重要なポイントを詳しく解説します。

4.1 構造変更の有無

キッチンカーの多くは、ベースとなる車両に調理設備などを架装することで製作されます。この架装作業によって、車両の寸法、重量、乗車定員、用途などが車検証に記載されている内容から変更される場合があります。このような変更は「構造変更」と呼ばれ、車検時にその変更が適切に届け出られ、承認されているかが非常に重要なチェックポイントとなります。

もし、構造変更を行ったにもかかわらず、その届け出を怠っていたり、車検証の内容と現車の状態が異なっていたりすると、車検に合格することはできません。また、保安基準に適合しない不適切な改造と判断された場合は、違法改造車として扱われる可能性もあり、公道を走行できなくなるリスクを伴います。

特に以下の項目については、構造変更の対象となる可能性が高いため、車検前に必ず確認しましょう。

確認項目主な変更内容注意点
車両寸法(全長・全幅・全高)外部にカウンターや排気ダクトなどを設置した場合車検証記載値から一定以上の変更があると構造変更が必要
車両重量調理設備、給排水タンク、発電機などを搭載した場合車両総重量が増加し、積載量が変更される可能性
乗車定員運転席・助手席以外の座席を撤去し、調理スペースとした場合定員変更により、自動車税区分が変わることも
用途「貨物」から「特殊用途自動車(キャンピング車など)」に変更される場合自家用から事業用への変更も含まれる
積載装置固定式の調理台や棚、シンクなどの設置積載物の固定方法や安全性が問われる

構造変更に関する詳細は、国土交通省のウェブサイトや自動車検査独立行政法人のウェブサイトなどで確認できます。不明な点があれば、車検の専門業者や管轄の運輸支局に事前に相談することをおすすめします。

4.2 設備の状態と安全基準

キッチンカーの車検では、車両本体の安全基準に加え、車内に設置された調理設備やその他の付帯設備が、走行中や使用中に安全であるかが厳しくチェックされます。これらの設備が適切に固定されていない、あるいは安全基準を満たしていない場合、車検に合格することはできません。

特に以下の設備については、念入りな点検と整備が必要です。

  • ガス設備:プロパンガスボンベの固定方法、ガス配管の劣化や漏れ、ガスコンロの設置状況、換気扇の動作確認などがチェックされます。ガス漏れは重大な事故につながるため、専門業者による点検を強く推奨します。
  • 電気設備:発電機や外部電源からの配線、車内コンセント、照明、冷蔵庫などの電気機器が適切に設置され、漏電対策が施されているかが確認されます。特に、配線が露出していたり、ショートの危険性がある場合は不合格となります。
  • 給排水設備:シンク、給水タンク、排水タンクが適切に固定され、水漏れがないか、衛生的に保たれているかが重要です。タンクの容量や設置場所も、車両の重心や重量配分に影響するため、確認が必要です。
  • 調理機器の固定:ガスコンロ、オーブン、冷蔵庫などの調理機器は、走行中に確実に固定されている必要があります。振動で動いたり、脱落したりする危険性がないかを確認しましょう。
  • 換気設備:調理時に発生する煙や熱を排出するための換気扇や排気ダクトが適切に設置され、機能しているかが確認されます。火災予防の観点からも重要です。
  • 消火器:火災発生時に備え、適切な種類の消火器が設置されているか、使用期限が切れていないかなども確認されることがあります。

これらの設備は、食品衛生法に基づく保健所の営業許可基準とも密接に関連しています。車検の保安基準と営業許可基準の両方を満たすよう、計画的な設備設計と定期的なメンテナンスが不可欠です。

4.3 日常点検の重要性

キッチンカーの車検をスムーズに、そして安全に通過するためには、車検時だけでなく日頃からの継続的な日常点検が極めて重要です。キッチンカーは、通常の乗用車に比べて、車両の振動や走行状況が車内の設備に与える影響が大きいため、思わぬトラブルが発生しやすい特性があります。

日常点検を怠ると、設備の固定が緩んだり、配線や配管に異常が生じたりする可能性があり、これが車検不合格の原因となるだけでなく、営業中の事故や故障、衛生問題に直結することもあります。日々の業務開始前や終了後に、以下のポイントを中心に点検を行う習慣をつけましょう。

点検項目確認内容重要性
車両の基本機能灯火類(ヘッドライト、テールランプ、ウインカーなど)、タイヤの空気圧・溝、ブレーキの効き具合、エンジンオイル量、冷却水量をチェック公道走行の安全確保、基本的な保安基準適合
調理設備の固定ガスコンロ、冷蔵庫、シンク、棚などが確実に固定されているか、緩みがないかを確認走行中の脱落防止、事故予防
ガス設備ガスボンベの固定、ガス配管の劣化・損傷・漏れ(異臭など)、換気扇の動作を確認ガス漏れによる火災・中毒事故の予防
電気設備配線の露出・損傷、コンセントのぐらつき、漏電ブレーカーの動作を確認ショート・漏電による火災・感電事故の予防
給排水設備給水・排水タンクの固定、配管からの水漏れがないかを確認衛生管理、水漏れによる車両損傷防止
消火器設置場所、使用期限、圧力計の状態を確認万一の火災発生時の初期消火
その他窓やドアの開閉、雨漏り、異音の有無など快適な営業環境の維持、トラブルの早期発見

日常点検を徹底することは、車検時の不合格リスクを低減するだけでなく、日々の営業活動を安全かつ円滑に進める上で不可欠です。小さな異常でも見逃さずに早期に対処することで、結果的に大きな修理費用や営業機会の損失を防ぐことにつながります。

5. キッチンカー車検をスムーズに通すための準備

キッチンカーの車検を滞りなく、そして費用を抑えてスムーズに通過させるためには、事前の準備が非常に重要です。特にキッチンカーは一般的な乗用車とは異なる特性を持つため、特有の点検項目や注意点があります。ここでは、車検に向けて具体的にどのような準備をすれば良いのかを解説します。

5.1 事前点検のチェックリスト

車検前にご自身で確認できる項目をまとめたチェックリストです。これらの項目を事前に確認し、不具合があれば早めに修理や調整を行うことで、車検当日の手間や追加費用を削減できます。

点検項目確認内容備考・注意点
灯火類ヘッドライト、テールランプ、ウインカー、ブレーキランプ、ハザードランプ、バックランプ、ナンバー灯が全て点灯するか。レンズに割れや曇りはないか。球切れやレンズの損傷は不合格の原因となります。
タイヤタイヤの溝の深さ(スリップサインが出ていないか)、空気圧、ひび割れ、損傷がないか。ナットが緩んでいないか。溝が1.6mm未満は不合格。スペアタイヤも確認しましょう。
ブレーキブレーキペダルの踏みしろ、効き具合に異常はないか。サイドブレーキの効き具合。異音や効きが悪い場合は専門業者に相談しましょう。
ワイパー・ウォッシャー液ワイパーの動作、拭き取り具合に問題はないか。ウォッシャー液は十分に入っているか、噴射するか。ブレードの劣化は拭き取り不良につながります。
発炎筒・三角表示板発炎筒の有効期限が切れていないか。三角表示板が車載されているか。これらは緊急時の保安部品です。
エンジンルームエンジンオイル、冷却水、バッテリー液の量、パワーステアリング液、ブレーキ液の量と汚れ。ベルトの緩みや亀裂。液漏れがないか、異音がないかも確認しましょう。
排気ガスマフラーからの異音、黒煙や白煙が出ていないか。排気ガスの状態は環境基準に適合している必要があります。
下回り車体下部に損傷、錆、オイル漏れなどがないか。サスペンションやドライブシャフトブーツの状態も確認しましょう。
窓・ミラーフロントガラスにひび割れや著しい傷がないか。サイドミラー、バックミラーが固定されているか。運転に支障をきたす損傷は不合格となります。
車内シートベルトの機能、シートの固定状態。シートベルトがスムーズに引き出せるか、ロックするか確認しましょう。
調理設備(ガス・電気)ガス器具の固定状態、ガス漏れの有無。電気配線の被覆破れ、接続部の緩みがないか。換気扇の動作確認。ガス漏れは非常に危険です。専門業者による点検も検討しましょう。
水回り設備給水・排水タンクの固定状態、配管からの水漏れがないか。手洗い器、シンクの固定。タンクの容量や設置場所が構造変更時の申請内容と一致しているか確認しましょう。
消火器消火器の設置場所、有効期限、圧力計の正常値キッチンカーには消火器の設置が義務付けられています。
販売窓・扉販売窓や扉の開閉がスムーズか、ロック機構が正常に機能するか。走行中に開かないよう、確実にロックできることが重要です。
内装・外装内装の清潔さ、設備の損傷や突起物がないか。外装に著しい損傷や錆がないか。安全運行に支障をきたすような損傷は修理が必要です。

これらの項目を点検する際は、普段からキッチンカーを運行している際に感じる異音や違和感にも注意を払いましょう。小さな異変が大きなトラブルにつながることもあります。

5.2 専門業者への相談タイミング

事前点検で不安な点が見つかった場合や、ご自身での判断が難しい場合は、早めに専門業者に相談することが賢明です。特に以下のような状況では、プロの力を借りることを強くおすすめします。

  • 構造変更の確認が不安な場合: 以前に構造変更を行っている場合、その内容が現在の車両の状態と一致しているか、また保安基準を満たしているか確認が必要です。不明な点があれば、キッチンカーの専門業者や陸運局の相談窓口に問い合わせましょう。
  • 設備の不具合や異音がある場合: ガス、電気、水回りなどの設備に不具合や異音がある場合、安易に自分で修理しようとせず、専門知識を持つ業者に点検・修理を依頼しましょう。特にガス関連は重大な事故につながる可能性があります。
  • 過去の整備記録がない、または不明な場合: 車両の状態が把握しきれない場合、一度プロの目で全体を点検してもらうことで、潜在的なトラブルを未然に防ぐことができます。
  • 車検期日が迫っているが、点検する時間がない場合: 忙しくてご自身で点検する時間が取れない場合でも、車検切れは絶対に避けなければなりません。早めに業者に依頼し、点検から車検代行まで一任することで、安心して本業に集中できます
  • ユーザー車検を検討しているが、自信がない場合: ユーザー車検は費用を抑えられますが、車両の点検や書類作成、検査ラインでの手続きなど、全てご自身で行う必要があります。少しでも不安がある場合は、一部を業者に依頼する「テスター屋」の利用や、最初から業者に依頼することを検討しましょう。

専門業者に相談する際は、キッチンカーの整備実績が豊富な業者を選ぶと、キッチンカー特有の構造や設備に関する知識があるため、より的確なアドバイスや整備が期待できます。早めに相談することで、修理に要する時間や部品の手配なども考慮に入れ、余裕を持って車検に臨むことができます。

6. まとめ

キッチンカーの車検は、一般的な車両とは異なる特殊な構造や設備が関わるため、事前の情報収集と準備が成功の鍵を握ります。費用相場や必要書類の確認はもちろん、特に構造変更の有無、設備の状態、そして食品衛生に関わる安全基準には細心の注意を払いましょう。日頃からの丁寧な点検と適切なメンテナンスが、車検をスムーズに通過させ、お客様に安全な食品を提供し続けるための基盤となります。この記事で得た知識を活かし、不安な点があれば迷わず専門業者へ相談することで、あなたのキッチンカー事業を長く安全に継続させることができます。

 

 

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